Produced & Photographed by Matsutora
カトヴィツェ・ステーション・ホテル
平成26年12月30日〜31日
KATOWICE STATION HOTEL
Dec.30-31.2014
思わぬことからカトヴィツェ駅で一夜を明かすことになった。
それは、ホームレスたちと一緒に駅構内で夜を過ごしたのだが、
そうとは題せず、『カトヴィツェ・ステーション・ホテル』としゃれてみた。
ポーランドにはもちろん素晴らしいことはたくさんあるが、
このブログを見てポーランド旅行(滞在)は何もかも素晴らしく不都合なことはなにもなく、
楽しく有意義な旅(滞在)だけが待っていると勘違いされては後世の人々のためにならない。
ポーランドでも困難なことに遭遇することは多々ある。
今回、そうなってしまった。私はホームレスになったのだ。
なぜそうなったのか、
一部始終を余すところなく書き記すので教訓としていただければ幸甚だ。
滞在していたポズノビッツェ(Poznowice)村から
一番近いズジェショビッツェ(Zdzieszowice)駅で乗車、
乗車券はカトヴィツェ乗り換えで我大学のあるジェシュフ行をズジェショビッツェ駅で購入。
ところが、カトヴィツェ駅の出発案内電光掲示板に松虎が
乗るはずの列車のプラットフォームの番号欄は空白で何も書いてない。
どこから乗っていいのかわからない。しばらく待っていたが、
やはりプラットフォーム番号は現れない。切符販売窓口で聞いてみたら、
なんとカトヴィツェからはバスなのだそうだ。バスの発車は12時50分だ。
ポーランドでは鉄道駅構内の乗車券売り場でバスの切符も販売する。
今回鉄道からバスに乗り換える便であったが、乗車券は1枚だけである。
バス乗り場まで急いで行った。
幸運にもバス発車の5分前であったが、不幸にも満員だからという理由で乗車を断られた。
松虎の後から、ポーランドの若者たちがやってきたが、やはり断られた。
彼らはバス乗り場のそばにある乗車券売り場で返金を受けていたので、
松虎も返金を願い出たが、次の便(15時20分)があるという理由で断られた。
外は寒い。屋外で2時間半も待つのは厳しい。
カトヴィッツェ駅はショッピングモールを併合した大型駅ビルである。
駅ビル内のベンチで座って待つことにした。座っていると居眠りが始まる。
ベンチで眠ってはいけないそうで、巡回中の警官が起こしに来る。
何回か起こされたが、次期バスの発車の30分前には乗り場に行って待機。
だが、待てど暮らせどバスはこない。発車時間の15時30分がやってきたが、
バスの形も影もなかった。そばにある乗車券売り場で、バスが来ないと申し出た。
その乗車券売り場にいる女性スタッフ自身が
2時間半前にメモしてくれた発車時間を見せながら言ったが、
突然、彼女は金切り声をあげて、
「来るものは来るのよ!あそこに来るわよ。待ってなさい!」という。
この国ではこういうことはよくある。すぐ切れて、ワーワーいうのである。
「あそこがバス乗り場だよ。どこにバスがあるのだ。今15時30分だ」と
バス乗り場を指さして怒鳴り返した。
そうすると、「ちょっと調べてみるわ」といったが、
その後「ない。ない。今日はこのバスはない」という。たったそれだけである。
「I'm sorry」もなにもない。
さらに「次に18時30分があるわ」といった。
そのバスがジェシュフに到着するのは23時である。
大学の寄宿舎には門限がある。23時に施錠はする。
だが、玄関横の守衛室には24時間守衛さんがいることにはなっている。
しかし、深夜には守衛さんがいる場合といない場合がある。
10名近くの守衛さんが交代で寄宿舎の管理をやっているようだが、
守衛さんによっては、深夜にでもじっと守衛室に座っている人もいれば、
玄関の鍵を閉めて守衛室にもいないということもある。
運悪く守衛さんがいなければ、氷点下の屋外で朝まで耐えなければならないことになる。
私は携帯電話を紛失したままになっている。守衛室に連絡は取れないのだ。
このバスは使えない。バスで帰るのはあきらめた。
お金を返してくれるようにたのんだら、不機嫌そうに何も言わず、
電卓をたたいて、25ズロチほど返してくれた。
突き返したようなしぐさだったが、やはり無言のままであった。
鋭い目つきは「うるさい客ね。私は間違ってないわよ。
3時間も待てば間違いなくバスに乗って帰れるんですから」とでも言っているようだった。
そういえば、2カ月ほど前に腕時計を買った。
内臓の機械は日本製であるが、ポーランドで組み立てられたポーランド製だ。
15,000円ほどした。だが、1か月ほどで動かなくなった。
微動しながら停止する状態を見てバッテリー切れだとすぐにわかった。
切れかかったバッテリーを内蔵した時計を買わされていたようだった。
保証書も領収書も持っていたので、バッテリーはすぐに無料で交換してもらったが、
その時も「I'm sorry」もなにもいわない。
『フン』と一瞥したようなしぐさで時計をカウンターに転がすようにして返してくれた。
たったそれだけだった。
では、汽車だ!
汽車の乗車券発売カウンターに急ぐと、「今日のジェシュフ行はない」といった。
午後3時半過ぎのことだった。カトヴィツェもジェシュフも県庁所在地である。
そこを結ぶ最終列車がすでに出発してしまったということだ。びっくりした。
「ない!?本当にないの?ジェシュフ行の汽車はないの」と驚いて聞き返したのがまずかった。
突然、切れた。
かな切声に変って「ないものはないのよ。ないったらないのよ」とまくし立てられた。
ここでもワーワー言い返されたのである。
もう今日中にジェシュフには戻れない。どこか温かいところで夜を過ごさなければならない。
大きな駅構内でなら温かく夜を過ごすことができるかもしれない。
翌日、ジェシュフ行きが出る午前4時22分までカトヴッツェ駅構内で待つことにした。
このブログの読者の皆さんは駅前のホテルに泊まることはできないのかと思うかもしれないが、
外国人がホテルに泊まるにはパスポートを提示しなければならないのだ。
今回はホテル住まいの旅ではなかったので最初からパスポートは持参していなかった。
思えば、カトヴィツェで下車したのは初めてである。
一晩だけの滞在ではあるが、一晩だけの写真滞在記がいよいよ始まる。
カトヴィツェ駅
ショッピングモールが一体化している。
駅前
駅前を一巡して駅に帰ってきた。
ショッピングモール入口
最上階はシネマコンプレックスになっている。
現在上映中の映画
HOBBIT『ホビット』 米国映画
IGRZYSKA SMIERCI:KOSOGLOS『ハンガー・ゲーム3 マネシカケスの少女』(Mockingjay) 米国映画
INTERSTELLAR『インターステラー』 米国映画
JOHN WICK『ジョン・ウィック』 キアヌ・リーブス主演 米国映画
KROLOWA SNIEGUは、雪の女王という意味。 童話アンデルセン ポーランド映画
LOVE,ROSIE『あと1センチの恋』 米国映画
NOC W MUZEUM 3『ナイトミュージアム エジプト王の秘密』 米国映画
PANI Z PRZEDSZKOLAは、女性と保育園という意味。 コメディー ポーランド映画
ANNIE『アニー』 米国映画
BOGOWIEは、神々という意味。 ポーランド初の心臓移植手術で成功した外科医の伝記。 ポーランド映画
10本中7本までが米国映画。
料金表。
通常22ズロチ(745円)、シニア(60歳以上)17ズロチ(575円)。
3Dは通常24ズロチ(812円)、シニア21ズロチ(710円)。
3Dメガネは買い取りで3ズロチ(102円)。眼鏡を持参すればメガネ代は不要。
飲み物やポップコーンを販売しているところで入場券を買う。
売店の前の人々は入場券と飲み物を一緒に買っている。
今一番人気のハリウッド映画『ホビット”Hobbit”』を見ることにした。
3Dシニア料金とメガネで計24ズロチ(812円)
広告中の映画ポスター
映画館内
予告編や広告が約30分ほどある。マツダ、ニコン、カシオの宣伝もあった。
映画も終わって、駅構内の乗車券売り場前広場で時間をつぶすことにした。
写真奥が乗車券売り場、手前の座っている人々の半数はホームレスの人々。
座っている人も立っている人もホームレス。
サンタの帽子をかぶっている人は、
警察官に注意されたので、行く当てもないのにぶらぶらしている。
座っている彼は一度も注意されなかった。
彼もベンチで眠るなと注意されたので、
仕方なく立ち上がって歩いているが、行く当てはない。ここで眠る以外にない。
彼は松虎が12時50分のバスに乗車を拒否された直後に偶然私の椅子の横で寝ていた。
あの時は私も数度注意されたが、彼も何度となく注意されて、椅子を度々変えていた。
偶然、また私の横の席に座ると眠り始めた。
赤い上着以外の3人はホームレス。
ポーランドのホームレスは極寒の路上に寝るわけではないので、
こ綺麗な格好をしている。ホームレスには見えない。
私は彼らと友達になったので、彼らがそのことを口にするまで気が付かなかった。
左端以外はホームレス。
プラスチック用のゴミ箱から拾い上げて、飲み残しがあれば飲んでいた。
掃き拭き掃除が一度でできる車。
ポーランドはこの車が大変普及していて、松虎の大学もこの車が清掃している。
後方の二人はいずれもホームレス
汽車は40分遅れて到着した。
予定発車時間の20分前にはプラットフォームに出ていたので
氷点下のプラットフォームで1時間も待っていた。
そういえば、ホームステイ先の村に行くときも汽車は2時間も遅れていた。
汽車は定刻に到着することもあるが、
遅れることも珍しいことではなく普通のことでもある。
汽車が動き始めて、しばらくすると素晴らしい朝焼けが広がった。
暖房も心地よかった。
琥珀ブログ 平成23年3月20日 初製作

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