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ベトナム民族学博物館
平成30年10月12日
VIETNAM MUSEUM OF ETHNOLOGY
October 12, 2018
ベトナムには、全人口の約86％を占めるベト族（キン族とも言われる）から、
400人程の少数民族まで、全部で54の民族が居住している。
この博物館は、それらの民族について紹介している。
建物の天井部は銅鼓をイメージした丸い屋根である。
裏手には11の民族の家屋が移築され、実際に家の中に入ることもできる。
敷地は少し坂になっており、
平野から山地へ進むイメージを持たせるように考えられている。
坂の下には平野部に住むベト族、チャム族の家、
上の方にはモン族など高地に住む民族の家が配置されている。
54の民族は5つの語系に属し、館内1階に語系別に民族の写真と、
その居住分布が地図で示されている。
ベトナム民族学博物館
内部
５つの語系別の民族の写真とその居住分布が示されている。
コー族のカイーネウ
コー族は、人口約3万人、主にクアンガイ省のチュオンソン山地に居住している。
カイーネウのカイとは木など細長い物につける類別詞で、
ネウは「掲げる」という意味で、コー族の最大の祭礼である、
水牛を生贄にする祭礼に使われる。
カイーネウは、五穀豊穣を願い、
天と地（精霊と人間の世界）を結ぶために大変高く作られる。
通常13〜15mの高さで三つの部分から成り、
竹や木で作られた鳥や花の装飾が掛けられています。
このカイーネウはもともと13mの高さがあったが、
展示の都合上、下の部分は壁際に展示してある。
先祖の霊を待つ神棚。家の中で一番神聖なところである。
ゴング（銅鑼）
中部高原の民族によるゴングの演奏は、2009年に世界無形文化遺産に登録された。
タイー族のレラウテムの儀式
タイー族は、人口は、ベトナムの主要民族キン族の次に多い、約163万（2009年）で、
父系制、主にベトナム北東部のランソン省、カオバン省、タイグエン省、
バッカン省、ハーザン省、クアンニン省、バクザン省などの山麓に居住している。
レラウテムの儀式は、道教の玉皇上帝に捧げられる、
テムと呼ばれる霊媒者によって行われる宗教儀式。
多くの場合、女性の霊媒者によって夜通し行われ、
タイー族の神話や民話を反映した詩が詠われる。
2013年にオープンした新館・東南アジア館
建物は凧の形のデザインである。
ベトナムには、凧が天と地の橋渡しをするとの伝説がある。
これは何だろうか？
フィリピンのミンダナオ島にあるモスクで使われる太鼓。
ラマダンの開始とか終息日とかなどの特別な儀式で使われる。
打者も大変名誉な役職で、スルタンなどの高位の人物が
特別に招待されて、その役を務める。
一本の木から作られている。長さは３.８６ｍ。
日本の陶磁器のコーナーもある。
チャム族の家
チャム族は、人口約16万（2009年）、
母系制で、主にニントゥアン省とビントゥアン省のほか、
アンザン省、ドンナイ省、タイニン省、ホーチミン市などに居住している。
チャム族は192年にチャンパ王国を設立し、
ベトナムの中部海岸平野に長く居住したが、
15世紀にベト族によって大幅に領土を縮小され、19世紀に滅亡した。
ベトナムで唯一、イスラム教の信仰をもつ民族である。
左側の棟は、屋根が2層になっている。
下の層は藁を混ぜた泥で、暑さをしのぐ効果がある。
クメール族の船
クメール族は約126万（2009年）で、主にメコンデルタに居住している。
この船は、Ghe Ngoと呼ばれるもので、クメール族の祭礼で行われるボート競技で使われる。
この船は、長さ25.6m、幅1.37m高さ0.6mで、
1988年にキエンザン省の人々によって作られた。
競技大会で何度も良い成績を残しているので、
2004年からソクチャン省のタムソック寺に奉納されていたが、
2008年に民族学博物館に収蔵された。
バーナー族の集会所
バーナー族は約23万人、ベトナムでは主に中部高原のジャライ省（Gia Lai）や
コントゥム省（Kon Tum）、南中部のビンディン省（Binh Dinh）の西部や
フーイエン省（Phu Yen）などに居住している。
バーナー族の集会所は、ニャーロンNha rong （rong：高い）と呼ばれ、
大変大きく美しい高床式の建物である。
この集会所は、2003年にコンルバン村（中部高原コントゥム市）の
バーナー族によって建てられた。
ニャーロンは、様々な行事や来客を迎える場として使われる。
夜間は村の警備のために、未婚の若い男性が寝泊まりするそうだ。
バーナー族を始めとした中部高原の民族によるゴング（銅鑼）の演奏は、
2009年に世界無形文化遺産に登録された。
バーナー族の集会所内部
ゴング（銅鑼）やトルン（Trung）と呼ばれる竹の楽器が置かれている。
ジャライ族の御霊屋
ジャライ族は、人口約41万（2009年）、母系制で、大多数が中部高原のジャライ省に、
一部がコントゥム省西部、ダクラク省北部に居住している。
ジャライ族の葬儀の習慣では、御霊屋を建て、レボマと呼ばれる儀式が行われる。
“ボ”は“放棄する”、“マ”はお墓の意味で、
家族などが二度と御霊屋にお参りに訪れることをしないという意味がある。
綺麗に保つために手入れなどもしないため、年月と共に壊れていく。
この御霊屋は、ジャライ省に住むジャライ族によって1998年に造られた。
周りを取り囲む妊婦などの木像は生命力を表し、屋根の上の装飾は、
儀式（レボマ）の様子が描かれている。
内部には、あの世で使うための食器や生活用具が置かれている。
ザオ族の家
ザオ族は、約75万人（2009年）、父系制で、カオバン省やハザン省、
ラオカイ省などの北部ベトナムの山地または中腹に居住している。
ザオ族は居住する場所の地形によって、平屋、高床式、
その中間的な家（半分が平屋で半分が高床）など様々なタイプの家がある。
この家は1999年にラオカイ省で建てられ、その後博物館に移築された。
山の斜面に建てられていたことから、
半分が高床で半分が地面の上に直接建てられている。
正面の扉に近い高床のところは、接客または家主夫婦の場所で、
残りの場所は子供達の場所でさる。またザオ族の家では、
祭壇が最も大切な場所とされている。
ザオ族の家の内部
米搗き
昔は、このような水力を利用した米搗きが一般的だった。
朝、畑に出る前にもみ殻を臼に入れておくと、
夕方帰って来たときには出来上がっている。
一回に7�圓諒討鰊颪�ことができたそうだ。
ザオ族では、旧暦の9月は悪魔の月と考えられ、
臼を作ったり修理したりする仕事は、旧暦の9月を避けて行われる。
この二つの臼は、ラオカイ省のザオ族によって作られ、
80年代に実際に使われ、1999年と2002年に博物館へ収められた。
ハーニー族の家
人口約2万（2009年）、父系家族で、
主に北部のライチャウ省とラオカイ省の山岳部に居住している。
この家は2004年に、ラオカイ省のにある家をモデルに
20人のハーニー族よって56日間かけて建てられた。
夏涼しく、冬暖かいと言われる土壁の家である。
壁の厚さは45�僉�高さ4ｍで、砂利や小石を混ぜた泥で作られ、
丈夫にするために竹が入れ込んである。
屋根は茅葺で、やはり45�僂慮�さがあります。
隣接する小家は、納屋兼馬小屋。
ハーニー族の家の内部
琥珀ブログ 平成２３年３月２０日 初製作
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